随分前の話ですが、友人に誘われて寄席に行った事があります。

そのまた友人達が企画、運営し始めたという寄席の二回目の公演でした。

「美案寄席」といいます。

小さなスペースでの寄席でしたが、大盛況で、開始ギリギリに到着した私達は立見でした。

手作りの寄席だからだと思いますが、噺家さんがとても近くて、

とても楽しく幸せな時間を過ごす事が出来ました。

 

でもこれは、初めての寄席を楽しんだ…という話ではありません。

その時いただいたプログラムの中に「美案寄席」という名前の由来の説明として

「美意の案配（びいのあんばい）」という寓話が記されていました。

若く聡明な王様と家来の話です。

どんな絶望的な状況も全て「美意の案配」であるというお話です。

詳しくはこちらから・・・ＷＭＫエージェンシー「美案寄席について」

 

この話を読んだ時に「これだ！」と思いました。

私はその頃、その時はどんなに最悪の状況だと思えても、

少し先の未来では、全てが「良かったこと」になる・・・と気付き始めていました。

けれど、上手く説明する事も、辻褄を合わせる事も出来ませんでした。

私はその「美意の案配」を「神の思し召し」「天の采配」といっています。

良いことも悪いことも、全て「天の采配」です。

そしてだいたい、前に悪いことが起こるのです。

 

例えば・・・ある女性がキャリアアップを望みました。

もっとこんな仕事がしたいなぁ～と思い浮かべたのです。

でも、今の職場でそれは叶いません。

転職しなければ思い描いたキャリアアップは望めないのですが、今の職場はすごく居心地が良くて、

辞めたいとは思えません。

ところが、ある日を境に職場での居心地が悪くなっていくのです。

つい最近までうまくいっていたのに、いろんなことがうまくいかなくなります・・・なんで？？

職場はいつの間にか最悪の環境になり、辞めざるを得ないような事態に追い込まれます。

一方で、新しい出会いがあります。

こんなウキウキする出会い、久しぶりだな～と思えるような出会いです。

結果、その出会いが次の職場、望んだキャリアアップへと繋がっていくのです。

 

これは、私が何度か経験したことをミックスしたものです。

ちなみに、私が望んだのはキャリアアップではありません。自分自身の進化です。

私は常に成長したいと思っています。たとえそれがベビーステップでも、蟻の一歩でも、

昨日よりは今日、今日よりは明日・・・日々、成長したいのです。

 

私が自分自身に「停滞」を感じ、「成長」を強く望み意識したとき、まさしく「事」が動き出すのです。

いろんな方々が似たようなことを本に書かれています。知っている人は知っている、事実だと思っています。

それを実感できるかどうかは、どれだけそのことを信じられるか・・・です。

そこで出てくるのが、最初に書いた「美意の案配」です。

その最悪の事態さえも「美意の案配」だと信じ切ることが出来るのか！！というお話です。

 

良いことも悪いことも、すべて「天の采配」。

 

今は、誰にとっても決していい状況というわけではないかもしれません。

けれどいつか、遠い未来に「あの時は本当に辛かったけど、今の私があるのはあの時のお陰だよね～」

と思える日がきっと来るのです。

そう信じて全てを受け入れ、一日一日を大切に過ごして行きたいと思います。

 

女将　かおる