「美味しい」を表現する

以前書いた「とりあえず面白い」の続きです。

なんでも「おもしろ~い♪」と言って受け入れてしまう女子はまた、「美味しい」を表現することにも長けていました。

私は子供の頃から好き嫌いが激しくて、特にお野菜は嫌いなものの方が多かったのです。
香草類と人参は今でも苦手です。
それでも母親から「身体にいいのよ」と常に言われていたので、いつか食べられるようになりたいとずっと思っていました。

社会人になって、福岡で食事をするようになりました。
福岡のお店はほぼハズレがありません。どこに行っても美味しいものを食すことが出来ます。
学生と違って大人の人たちは「量より質」なので、より美味しいものに出会う機会が増えました。
「いつか食べられるようになりたい」と思っていたこともあり、機会があればチャレンジしていたので、克服したお野菜が増えていきました。
嫌いだった物が多かった分、食べられるようになった時の、そしてそれを好きだと思えるようになった時のその喜びは、感動に値しました。
ビビりではありながらも超ポジティブ思考な私は、好き嫌いが激しいのも悪いことではないんだなぁ・・・と思うようになりました。

そう、最初から食べられる人は、この感動を手にすることはないのですっ!!

彼女は、お野菜大好き人間でした。

家族から「血が緑色なんじゃない?」と言われるほどに緑色のお野菜を食べている・・・と言っていました。
彼女は当時お弁当を持参していて、中身はほとんどお野菜でした。
自分で作ったお野菜料理を「おいしい~っ♪」と言って、く~っ!!という顔をするのです。
く~っ!!って、わかりますか? ビールのCMの、風呂上がりの一杯、一口目・・・という感じです。
食べている間中ニコニコして、何度も「おいしい~っ♪」と言うのです。
見ていると、だんだん食べたくなってくるのです。
私が嫌いだと思っているお野菜だと特に・・・。
きっと顔に出ていたのでしょう・・・もしくは、そんなに美味しいの?と聞いたこともあったかもしれません。
何度かいただきました。
そしてそれは、確かに美味しいのです。

!!!

人をその気にさせるって凄いことだなぁと思います。
誰かに何かを食べさせたかったら、まずは自分が食べて心から美味しいと思うこと、そしてそれをキチンと伝えること・・・ですね。

この後私は別の会社で働きだし、一生懸命やっても空回りするばかりになった時、ふとこのことを思い出しました。
気持ちばかりが焦って、自分のことはなおざりになっているのだ・・・ということに気付いたのです。

誰かを楽しませたかったら、まず自分が楽しむこと。
誰かを幸せにしたかったら、まず自分が幸せになること。
誰かに好きになってもらいたかったら、まずは自分が好きになること。
そして、それをキチンと伝える努力をすることです。

今、それが出来ているかどうかはわかりません。
でも、常にそのことを思い出します。常に意識するようにしています。
私の楽しいがいっぱいになり、心から溢れ出してお客様の心まで満たしてしまえるくらいに、
楽しくて幸せな毎日を過ごしたいと思います。

女将 かおる