「ありがとう」という言葉

日本には、便利な言葉があります。

それは「すみません」という言葉です。

基本的には謝る時に使用する言葉ですが、時には「ありがとう」の代わりに使うこともあります。

お客様に招待されてレストランでご家族とお食事をした時、

食事を運んでくれる方へご主人様が、都度「ありがとう」とおっしゃられるのを聞いて、少々驚いたのです。

ちゃんとその方の顔を見て、おっしゃるんです。

 

当時、私は20代前半でしたが、お食事を運んでくれる方へはペコリと頭を下げるだけ、

もしくは「すみません」と小声で言うくらいでした。

私が子どもの頃は外食できるお店などほぼなく、飲食店は出前を頼むところ・・・という感覚でしたので、

そういう場合の大人の対応の仕方など知る機会がありませんでした。

誰かに何かをしてもらったとき、口から出てくる言葉が全て「すみません」だった私は、

ハッ!!とさせられたのです。

 

「すみません、ありがとうございます」とキチンと最後まで言えれば、まだよかったのですが・・・。

 

それからは、感謝の気持ちを伝える時は「ありがとう」という言葉を、

謝らなければならない時は「すみません」、「ごめんなさい」という言葉を、

きちんと使い分けられる人になろうと思ってきました。

そしてできるだけたくさんの「ありがとう」が伝えられるように・・・と思っています。

 

ただ・・・。

いまだに相手の顔を見て、というのは、なんだか恥ずかしくて出来てはいませんね・・・。

もういい大人になったので、ここで思い出したことを機会に、そろそろそれも出来るようになろうと思います。

 

女将・かおる